2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

3/31

年をとったら魔女になりたい、と人並みに願っている。毎日黒い服を着る。夏は薄い木綿地の、冬にはベルベットのワンピース。ふたくちコンロと大きな本棚のある家に住んで、酸っぱいイチゴのジャムを作る。晴れた日には庭に出て雑草の名前をいちいち確かめて…

3/29

アイロン台に置きっ放しの牛乳を、早く冷蔵庫に入れなくては、と考えている。結核でもなんでもないのに六尺四方くらいの世界の中で過ごしている。『病牀六尺』に紅色郵便箱を見たいとあるのを読んで、はっとして、少し涙が出た。

3/28

竜田揚げを作っていて、片手で片栗粉を開けようとして、袋に入っていた片栗粉の半分くらいを床にこぼしたので、バイト先のタイムカードの上に貼ってあった注意書きはわたしに向けられたものかもしれないこととか、最近ずっと電気つけっぱなしで寝てることと…

3/23

嫌だったことを嫌だったのだと伝えるために会いに行ったはずなのに、いざ顔を合わせてしまうとどうでもよくなって、しかも今日はとてもいい天気で、街路に植わった桜がほろほろと咲き始めていて、道を歩く人の顔も皆白くピカピカに光ってて、言葉も自然ふわ…

3/22

そんなにつらけりゃやめたらいいじゃん 蹴り飛ばした足裏が痛い

3/21

忘れていた。本が作りたいのだった。昨日友人と初めてホホホ座を訪れて、店頭に並ぶ本のすみっこに、控えめで華奢な上製本が数冊積み重なっているのを見つけた。手に取ると「わすれたものたちの本」という題と知らない女の子の名前。成人式に行く代わりに本…

3/20

なんだってそんな、持って回った言い方をするのか。もっと簡単に直情的に、素手でつかんで引き寄せることもできるはずだと思う。 空気を糸で縫うような、ミシンが空回りするあれみたいな、そうしてあとから気づいて慌てて、ぐちゃぐちゃの糸玉を切って離すよ…

3/19

夜に川沿いを歩くのは、どんなに変な顔をしながら歩いてても、2、30歩の間目を瞑っていても平気だから。安全性は保証されない。整備された道をわざと避けて、なるべく流れに近いところ、歩きにくいところを選ぶ。足音のあいだに話し声が聞こえる。びっくりし…

3/18

バイトが終わって図書館に向かう。通りがかったラーメン屋の行列に先輩方が四人、「偶然ですか」と聞いたら「そんなところ」と返ってきた。「お待たせしました」といって列に割入るくらいしてみればよかったかもしれない。 昨日丸善で買ったうちの一冊、北村…

3/15

初めて自分から友人をご飯に誘えたかもしれない。初めて、は流石に大袈裟か。でもこういう風に、急に誘うことは殆どない。そもそも誘うとか、提案するとかいうことを手際よくできた例がない。小学校の友達を家に呼ぶのも苦手だったし、中学時代は、そもそも…

3/12

名前というのは約束なので、あれば確かに安心だけど、ない方がずっと楽、という場合も往々にしてある。「彼女らあんなに仲がいいのに、どうして」なんて言われたって気にも留めない。「親友なんだね」とか「付き合ってるの?」とか、聞こえないふりしててい…

3/7

一昨日だったろうか、散髪した後、パスポートセンターから帰るその道の車中で、何となく体がだるいなと感じて、母親に相談したのが運のつき、それからずっと実家の二階にいて、悠々自適の引きこもり生活である。倦怠感は、何のことはない、単なる生理直前の…

3/4

2月は本当に楽しいこと、嬉しいことがたくさんあったのに、どうして書き残さなかったのだろうと悔やまれる。一日一日ちくちくと、かみしめられたらもっとよかった。覚えているのは友人二人と妹が私の部屋に来たこと。「シン・ゴジラ」はとんでもないエンター…