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初めて自分から友人をご飯に誘えたかもしれない。初めて、は流石に大袈裟か。でもこういう風に、急に誘うことは殆どない。そもそも誘うとか、提案するとかいうことを手際よくできた例がない。小学校の友達を家に呼ぶのも苦手だったし、中学時代は、そもそも友達と遊んだ記憶がほとんどない。

今日は風こそ冷たかったけど随分空が高くって、赤みがかった金色の西日なんか、もうまるきり春のそれで高揚してしまった。こんなにいい天気なのにぐずぐずとくすぶっているのが馬鹿らしくて、LINEした。断られたって何ともないやい、とか、その時はインドカレーの店に一人で行こう、とか、予防線は抜かりなく二重にも三重にも張った上で、だったけど。OKの返事がすぐに来た。嬉しかったな。

このごろずっと調子はずれで、小指の先ほどの小さな石、最早砂利、にもつまづいてしまう。精神的に。気を抜くと涙が出そうになるし、道の真ん中で飛び跳ねて、でたらめ叫びたくなってしまう。色々とどうしたらいいかわからない。間近に迫った将来の事も、卒論の事も、親の事も、女性という性別も、やりたい勉強、読みたい本、知りたいこと、分かっていたいこと、やらないといけないこと、何も、何もわからないままで許されたいと、甘ったれている自分はちょうど12年前、ディズニーランドのワールドバザールで座り込んで、「もう歩けない」と泣きじゃくった私と何も変わっていやしない。どうしたらいいかもうずっと分からなくて、格好悪いからそれらしい目標は標榜していたけれど、そうなれたらいいような、そういう気もするけど、でもよく分からない。好きな人たちとずっと一緒にいたい。己の感情だけ酷使するやり方で本を読みたい。試されたくないし嫌われたくないしかといってがっかりされたくもない。興味がある事もないことも、ある程度のところまで行けば満足してしまう。一番興味があるのは自分。自分の事ばっかりだ。最悪だ。最悪。悪悪、飽き飽きしてしまう。あくる朝には全部ながれて、秋空みたいにはれ上がってればいいけどね。秋じゃない、春だよ、春。

春だ。また春が来た。期待と不安と虚栄が混ざり合って裏返る声、気恥しいような晴れがましいような、あの季節がまた、性懲りもなく、私に。いまちょっと、迎え撃つ自信がない。飲み込まれてしまう。いっそ飲み込まれちゃった方がましかもしれん。雪解け水に押し流されて、どこへ向かうのかもわからないまま、生き延びるために必死に腕を掻いて、辿り着いたのは無人島。今日から始まる自給自足生活!草陰に光るアヤシイ光が二つ!恐怖の人食い虎!とは名ばかり、実は優しいお父さん。兎を8匹飼ってるのね。そこの体躯の小さい、そうそれ、灰色の子なんか、父親は酒飲みで母親はギャンブル漬け、ネグレクトされてうつろな目、そういうところを助け出されたのね。そう、そうなのよ。あああ。ダブルダッチダブルダッチ!兎の子はねるはねる。小さな心臓どもがバクバク言っているのが聞こえるでしょう。

今日は多分気圧があれなんだと思う。よくわかんないけど頭が痛い。もう寝ようかな。