3/4

2月は本当に楽しいこと、嬉しいことがたくさんあったのに、どうして書き残さなかったのだろうと悔やまれる。一日一日ちくちくと、かみしめられたらもっとよかった。覚えているのは友人二人と妹が私の部屋に来たこと。「シン・ゴジラ」はとんでもないエンターテインメントだけど、動体視力がないもので、追っつかなくて困った。鉄仮面の市川実日子が最後の最後で見せた安心顔、あんなの見たらみんな好きになっちまうよと思う。東京都美術館で見たミナ・ペルホネンの展示にも市川さんの写真が飾られてて、どきん。

そうそう、東京都美術館にも行ったんだった。コロナウイルスがはやり始めていたから、正直行こうかやめにするかと非常に迷ったんだけれど、先輩が「それは行った方がいいよ」と大真面目な顔で言うから、いとも簡単にのっかった。ダムタイプの展示、日本の現代アートの今にかなり寄与しているんじゃないかしら、と無知ながらにして考えた。「S/N」だったと思うけれど、冷たい光を発するトレスが二項対立のうごめく床を照らす。トレスが前後にスライドするのに合わせて、鑑賞者もじりじりと前進したり、後退したり。ミナ・ペルホネンの方は、どこもかしこも心躍るテクスチャでいっぱい、やっぱり布と糸が好きだ、と再確認する。惹かれるのはいつもシンプルなものだ。いつかarial柄のワンピースを着たい。

回転ずし屋に行けたのもよかった。このご時世で、暫く回るすしを目で追うこともなかろうよと思う。イチゴ味のかき氷が一番おいしかった。くら寿司、決して侮れない。金曜の夜に行ったらえらく混んでいて、一時間強待つというからいったん外にでて古本屋へ。『羊をめぐる冒険』ってあんな書出しだったっけ。

友達の家でパンケーキを山ほど焼いた。私はジョナゴールドでジャムを作ったし、友人が用意してくれたハーブ入りのソーセージも美味しかった。彼女の家には椅子がないのに、机はやたらに高いから、立食パーティみたいになった。腹がくちくなったら寝転んで、色々話したけどよく覚えてない。あの日は世界が終わる日みたいに、とてもいい天気だった。

東京もそうだけれど、ほかにも色々遠くに行った。天橋立までドライブもしたし、愛媛にも二泊三日で旅行した。遠くに行くのはいいことだ。日常が愛おしいのは勿論だけれど、どうしても似たような思考回路をたどってしまうことが多いから。大事なのは風通しをよくすること。

あとは、aikoがサブスクを解禁したのも嬉しかったし、先輩の家で鍋をしたのも楽しかった。知り合いの高校生がバレンタインチョコレートをくれた。鳥貴族でビールをたらふく飲んだし、友人から手紙と沢山の贈り物が届いた。作りすぎたグラタンを妹と一緒に食べた。「コタキ兄弟」と「映像研」は本当に面白いし、ああ、あと、あの人が何度も家まで送ってくれた。こうして書き出してみるとつくづく貰いすぎだ。どうしたらこんなに返せるだろう。途方に暮れてしまう。

ほらね、逐一書き残さないから、面倒になってこんなに穴だらけ。こうして見ると実によく遊んだものだ。3月はぐんぐん勉強する。次にあの子に会うまでに、もう少し賢くなる。