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知恵も知識もなく特別な努力もできない代わりに、できる限りの範囲において真心と誠実さを注ぎ込んだ仕事がほぼ片付き、さびしい。もう少し達成感があるものだと思っていたが、できるまでの間に不測の事態がないか不安だし、もっとできたことが沢山ある気もするし、とにかくさびしい。出来上がる頃にはきっと別の仕事に頭を占められているのだから、なんだか。でもよかった、とにかくひと段落した。

三連休は3日とも、職場の上司の留守に忍び込み猫二匹の世話をした。これまでの、そしてこれからの人生の中でも、かなり上位に食い込むくらいきらめく経験だった。たった数日餌と水を用意し排泄物を処理するだけの私を玄関まで迎えに来たり、伸ばした手に眠たそうに頭を擦り付ける、現金で素直なかわいさに圧倒された。見習えるものではないが、見習いたい。二匹は明らかに性格も好みも違っており、それぞれに相応しい付き合い方があり、こういうことを私は初めて身をもって知った。ソファの下からこちらの様子をうかがいつつ絶対に触られたくなさそうなかれらに心底共感し、自分を省みもした。これまで小さいものに構いすぎて何度も嫌われてきたが、猫たちに教えられやっと自制を覚え始めた。

この時期は人がびゅんびゅん行き交うから、決まったタイミングに間に合わせなきゃいけないことが多く、でも結局間に合わなかったり、その一方新しいことも始まったりして、季節の予感でとにかく疲れる。うかうか寝てられないと思うから益々眠くなる。知らない家の光の中に猫と戯れ、そのまま時間が止まって、誰もいなくならないでほしかった。