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大事な同僚が二人、東京にいってしまった。卒業式の日がちょうど送別会で、袴を脱いですぐに会いに行った。行ったはいいものの、慣れないことの連続で着いたころには疲れ切っていて、いつもどおりの教室の光景に安心しきって、夜までちょっとぼーっとしていた。それぞれに言いたいことがひとつずつあって、それだけは言えたのでよかった。本当は握手じゃなくて思い切り抱きしめたかったが、二人とも異性だし、周りに沢山人がいたので、できなかった。自分のこういうところがマジでくだらねえ。

Kのほうはものごとを俯瞰的にみられるひと。振り返りで誰がなにをいっても、面白そうに聞いてくれる。最悪「なにもなかった」と書いていても、会話を広げることができる。とにかくよく出来るやつ。いつも堂々と自信に充ち溢れていて、それが全然嫌な感じじゃないのがすごい。感覚的な部分が優れているし、それを言語化するのもうまい。というか、面倒くさがらない。

Tのほうはとにかく目がいい。すはしこい。見たものをよく覚えている。よく覚えて考える。全然驚かれなくて、と本人は言う。大体、何を考えているかよくわからない、というのがその理由だろうけど。自由であること、人間であることを重んじている。言葉も行動も徹底している。ちょっと押しの強い人に絡まれると、嬉しそうにしている。本人にはなかなかできないことだろうからだと推察する。

少なくともあたしはかれらに会いたくて通勤していた。行けば同じ年のかれらと喋れるのが毎回嬉しいのだった。最後まで、タメ口と敬語をゆらゆら行ったり来たりした。もっとあたしが勤勉で、強靭な思想と言葉をもっていたら、もっとかれらと言葉を戦わせたり、ふつうに仲良くなれていたのかもしれないなあとずっと思っている。が、どうしようもない。

帰り道、コンビニの前で煙草を吸いながら楽し気にしゃべっているかれらを見かけた時から、私はずっと彼らに憧れている。まだ遠い。