昨日は午前のシフトしか入れていなくて、バイト帰りに不動産屋へ寄った。対応してくれた長身の男性は西の商売人という感じの張りのある声をしていた。いくつも物件を見せてもらっていると、自分がどんなところに住みたいのだか段々わからなくなってくる。エレベーターがなくても階段で上れる、脱衣所がなくても服は脱げる。あやうく「もう別になんでもいいんです、住めれば」と言いそうになったが必死にこらえる。一件、壁一面がケロリン桶色のやつを出され、「ちょっと目が疲れそうですね」とそれだけは遠慮した。「そうですよね!」とやっぱり張りがある。不動産屋は楽しい。
内見予定のマンションの前を通って学校に行き、夜から会う予定のあった友人にばったり出くわす。ふらふらとついて行き夕飯まで一緒にいた。前もって約束した上で会うことも勿論あるが、彼女とはこうやってたまたま道連れになることが多い。春から首都圏に行くそうで、これからはきちんと約束しないと会えないんだなと思う。
登下校時にいつも目の前を素通りするばかりの喫茶店があって、友人が入ろうと言ってくれたので嬉しかった。USJとかディズニーとか、看板だけがあがっていて中には入れない店、ああいうのなんていうかわからないけど、入れないことがすごく悔しかった。入れないと思っていた店の中にいるのが不思議で、授業のレジュメに目を落とす友人を前に私はやたら落ち着きなく、寿限無を何度もそらんじたり、そばをすすってみたりした。
折角いいことがあった昨日の今日で、朝からずっと調子がよくない。留年の説明をするときに格好つけて調子がよくない素振りをしてしまったからかもしれない。やりたいこととやらなくちゃいけないことの間に、没頭できる何かを見つけた方がよくて、卒論をその椅子に座らせればいいこともわかっているけど、今日は何分疲れていて、人も言葉も残った洗い物もこわい。