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真藤順状『宝島』を読む。夢枕獏が帯に「小説を書くというのはこういうことなんだ」とコメントを寄せているが、「小説を読むというのはこういうことだったな」と思わされる本だった。昨日読んだばかりのシーン、オンチャンと一緒に星を見上げた夜のことを、はるか遠い過去の出来事として思い出す。登場人物への共感だとかは飛び越えて、無理に肩を引っ掴まれて、揺さぶられるし、同じだけの時間をかれらと同じ場所に生かされる。癒えない沖縄戦の傷、米兵とウチナーの確執、虐げられ理性を失うウチナー達、異常なまでの集団の熱気、描かれるテーマはいずれも重く、怒りと悲しみを呼び起こすが、どこか力の抜けたウチナー達の会話と語りの暖かさ、何より沖縄という場所の懐の深さに救われる。運命に翻弄されるレイ、グスク、ヤマコたちに、遠い場所から最後まで寄り添い続けた語り部の正体を知る時、涙無くして最後のページを閉じることができない(クサイレビューじみてきたな)。ちょっとすごいものを読んでしまった感じがある。

昨日は絶対に休息日にしようと朝から目論んでいたので、高くそびえる積読の山の一角をつき崩すことに成功した。『兄の終い』と『四畳半タイムマシンブルース』、読んだ。後者に関しては舞台がズバリ8月11日-12日で、前日に丸善で購入してデルタのほとりで読んでいることに、何やらヘンテコな御縁を感じる。中2で初めて『ペンギン・ハイウェイ』を読んだはずなので、もりみーとの付き合いも早8年目になる。だてに全著作読んだり(といいたいが、ぐるぐる問答だけ未読)、後追いして同じ大学に入ったり、してないのである。エヘン。羽貫さんの豪胆っぷりが相変わらず素敵であった。