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8時ごろに起きる。昨晩読み始めた『ジョゼと虎と魚たち』を最後まで読む。関西弁をすんなり読める自信がなくて、田辺聖子は何となく避けてきたけど、アニメ化されたものが目に入る前にと思って、急いで買い求めた。この人もまた、江國香織川上弘美山田詠美と同じように、私にとって遠い遠い場所に暮らす姉だった。人の目なんかどうでもよくて、肉体と直感に素直な女たち。どういうふうに振る舞えば気持ちが良いかを知っていて、自分が気持ち良く生きることを、一番大事だと信じて疑わないひとたち。彼女らに倣おうとは決して思わない。思わんが、文化だとか社会規範の手が届かない、肉に宿る何かしらを、アンタ随分蔑ろにするわねって、ふふんと笑われている気がして、何かすっごく悔しい気がする。そういうなかで「うすうす知ってた」の梢一人は近しくて、それだけに読んでいて羞恥を覚えた。田辺聖子、もっと読もうと思う。そういえば『文車日記』だけは高校時代に読んでたっけか。中身はまるきり忘れたが、文学部に入った暁にはこういう風に古典を読めるようになるといいなあと思ったのは覚えている。

明日は誕生日なので、色んなことの帳尻を出来るだけ合わせようと思って、部屋を片付けて、掃除機をかけて、牛乳パックをまとめて、ゴミを捨てて、スーツやコートをクリーニングに出した。これら全てが午前中に終わったので、今はかなり機嫌がいい。今晩はちょっといい店に行って、ひとりで酒を飲むつもりでいる。自分ひとりと交わした約束のおかげで、思いがけず腹に力がこもって、知らぬ間に諦めていたあれこれも、もしかしたら行けるかも、と思えてくる。現時刻13時32分、大学近くのカフェにいて、できれば集中講義の課題を片付けてしまいたく、窓際の席でPCを開いている。ここのご飯はそんなに美味しくないなと3年通って始めて気づいた。ケーキと紅茶はやっぱり上等だ。夜までにはまだ時間があるぞ。