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所属団体のtwitterを動かす、いわゆる「中の人」を初めてはや4日、エゴサーチをする手がとまらない。あまり大勢の目に止まっているわけではないので、見つけた言及件数はせいぜい合計6,7件くらいである。それなのにである。既にいいねをしてあるtweetも、褒められているのが嬉しくて何度も見返してしまう。他にも誰かが新たに見つけてくれていないかと思う。検索結果に同じtweetが並ぶ。見返す。ものすごい速さで同じことを繰り返していて、段々脳みそが溶け出て行く感じがする。

怖くなって整骨院に行く。指先から他人の言説へと散らばり出て行く自己を、いまここに在る身体感覚を強化することで取り戻すため。本当の所は、昨日ゴミ袋を拾おうとしたとき、少しだけギックリの気配がしたのである。

通学路にある、わりと繁盛してそうな整骨院を思い出して電話を掛けると、「予約制ではないので直接来てください」と言われる。そうかと思って自転車を飛ばし、入って見ると中が思ったより広い。受付の女性は親しみやすそうな感じで、実際来ているご老人とか、体育会系の兄ちゃんたちにタメ口で気安く話しかけている。渡された問診票に必要事項を書き込んで渡すと、「あと1時間くらい待っててください」と言われたので、待合室の長いすの端に大人しく収まり、置いてある呪術廻戦の1巻を読んだり、英単語帳を眺めたりして待った。受付の上の方に設置されたテレビからはワイドショーが流れていて、あまり気分はよくない。カンニング竹山がからくり技師みたいな見た目になっていた。

名前を呼ばれて施術室に入り、診察台に腰掛ける。簡単な問診が終わるとすぐ、「まず電気通しますねー」と言われ、腰のあたりにスッと電極パッドが差し込まれる。仰向けに寝転ぶとスイッチが入れられたようで、電極パッドからピリピリと電気が流れ出ているのがわかる。「電気風呂とか入ったことあります?」と聞かれたけど、あんなに痛い訳ではなくて、ねじを巻くとぶるぶる震えながら前に歩くおもちゃが、薄っぺらくなって腰の下で震えているみたいな感じである。すごく暇だが、何かを考えられる気分でもなく、ただ腰の下のピリピリと、流れて来るラジオの音を感じるだけの時間が10分くらい。気持ちのいい場所だなと思う。

次に3つ隣のベッドに案内され、またも仰向けに寝転ぶ。「水の力でマッサージしますので」と言われるが何だかよく分からない。次の瞬間、足の方から頭に向かって何か圧力が迫ってくるのを感じる。ただ真直ぐに上がってくるのではなく、くるくると小さな輪を描いて、体全体を下から押し上げるのである。ウォーターベッドなるものに寝転ぶのはこれが初めてだった。銭湯の泡風呂みたいで気持ちがよかったが、なんだかおいしく食べるための下ごしらえをされているような気分にもなった。

ウォーターベッドにも10分くらい、70くらいの女の人が「どこに自転車を止めればいいのか」と施術師に何度も聞き返すのをボーっと聞きながら寝転んでいて、それからようやくマッサージを受けた。自分でも触ったことのない筋肉を抑えられてびっくりしたが、途中からなされるがままだったのであまりよく覚えていない。「スリッパ脱いでください」を聞き間違えてセーターを脱ごうとしたのと、「おしりに引っ付き虫ついてますねー」と言われたのだけ恥ずかしかった。

周囲の整骨院に通う人たちをみていると「世界が明るく見える」とか「何でもできそうな気持になる」とかものすごい効果を得ているので、正直期待して院を出たが、別に明度も彩度ももとのままだった。でも300円ぽっちでこんなに面白い経験ができるのだったら、週に6度くらい通いたい。