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小さな男の子と、それより小さな赤ん坊が屋上の柵の側で遊んでいるのをこちら側の校舎から見ている。背後の青空には雲一つない。片方の子どもが内側に、片方が外側にいる。大変危なっかしいから走って向こうの校舎に向かうが、案の定間に合わなくて、どちらか一方が落っこちていく影が目の端にうつる。3階の渡り廊下みたいなところから眼のピントをあわせないように下をのぞき込んだら、コンクリの上にうつ伏せにたおれた小さなからだの頭のほうから何かどろどろしたものが流れ出ているのを見た気がして、もうどうにもならないくらい悲しくなって、泣きながら教室に駆けこむ。今日は文化祭だから誰もかれも浮かれているけれど、心なしか校舎全体が暗い。友人の一人が早く来いよと促す目つきでこちらを見る。その人と一緒にあるいていたらさっき落ちて行ったはずの子が目の前にいる。ああさっきのは見間違いだったんだと思ってほっと安心する。もういちど下をのぞきこんだら、オレンジ色のスライムだけそこに残っていた。目をもどして、金色の巻き髪がうつくしいその子と暫く見つめ合う。やけにセルロイドのおもちゃじみた顔をしている。そこで一度目が覚めて、非常に気分が悪かったからもう一度寝た。最近あまりいい夢を見ない。

ぎりぎりで一限に出席したあと、めぼしい食べ物が冷蔵庫になかったので、伝家の宝刀うまかっちゃんを朝昼兼用の飯とする。トマトとキャベツと玉ねぎはあったが、いちいち庖丁とまな板を汚すのも面倒なので、卵だけ落として食べた。三限の発表は、とりあえず喋ることは喋ったという気でいるが、多分画面の向こうでは17、8人がぽかんとしていたことだろうと思う。見えなくてかえってよかったかもしれない。終わったあと暫く先生と雑談していたが、10人前後そのままミーティングに残っていて、会話を全部聞かれていたことに気付き、少々恥ずかしかった。

四限の課題と明日の予習を夕方までに終えて、今日はもうずいぶん頑張ったので店じまいにしようと考える。夕飯は昨日のボロネーゼもどきの残りを白飯にかけて、上に目玉焼をのせたやつだった。名前は知らない。ご飯を冷凍しようとしたらラップがきれたので、コンビニに買いに行き、ついでに牛乳と金麦とアイスを買った。何しろ水曜はホリデイなので、その前の晩はフライデーナイトに相当するのである。見たかった動画を一通り見た。平田オリザを見ながらガクガクうなずいて、東京事変を見ながら泣いて、私立恵比寿中学を見ながら腕を振り回した。東京事変はつまみ食いしかしてこなくて、アルバムを通しで聞かずにここまで来たのだが、かなり後悔した。「娯楽」は近いうちに本当に好きになると思う。エビ中もいまさら気になり始めた。真山りかさんの気迫のこもった声と大きな目がとても好きだ。あっちもこっちも愛しくて忙しい。

明日また食料調達に出かけようと思う。来週も、恐らく再来週も発表は続くし、もう片方の演習の準備もあることを忘れない。忘れないが、やりたいことはやる。何ぶん、BAD AND TOUGHなので。