12/15

この土日は本当に楽しかった。消費するだけじゃなくて、そこから何か生れてくれそうな楽しさだった。

昨日。久々に商店街で買い物をした。お総菜屋さんの豚丼がおいしかった。しょうゆと砂糖でぎゅっと煮詰めた豚肉と玉ねぎの強い味。食べながらいだてんの再放送を見て、次回が最終回だとやっと気づき、「ああああ」と泣いた。

友人が所属する合唱サークルの公演に行った。久々に合唱曲を聞いた。谷川俊太郎「天使の居る構図」の合唱アレンジ、びっくりした。preludeで沢山の天使が雲の上からひゅるひゅると降りてきて、私たちの生活のそこかしこに、おおきくなったりちいさくなったりしてしれーっと潜む。耳元でさんざめく笑い声、私たちはめったに気づかないけれど。っていうかそれだけじゃなくて合唱そのもの。私は水彩画を思い出した。確かに存在したはずのひとふでひとふでが溶け合って混ざり合って個別性をうしない、だのにどうしてこんなにも嬉しそうに?私だけを、というわがままも、時にこうして乗り越えられる。今日も図書館で勉強していたら、夕方、外からかすかに聖歌隊のグローリアが聞こえてきて、私はクリスマスを待ち望んだ。

忘年会も楽しかった。みんなちょっと上ずった調子で、とりとめもなく、過去と未来のことを話していた。終わった後はカラオケに行った。私の後輩どもは全員愉快なことに長けていて、私も引っ張られて愉快になり、外れた音で知らない歌を歌ったり、B'zで飛んだり跳ねたりした。あの時の部屋の温度は多分、27度くらいまで上がっていたと思う。あと、一緒にカラオケすることなんか一生ないだろう、と考えていた人の歌うのを聞いて、その後まさかまさか、デュエットまでしてしまった。一生ないだろう、なんて思っていたことは、解散してから思い出した。忘れたころに叶うことは沢山あって、忘れているから「叶って」いると気づいていないことも沢山あるだろう。

今日は先輩のアコースティックライブを見に行った。公民館のような場所をつかった地域のおまつりで、保護者やママ友のいない先輩たちの客席は結構がらがらだった。ライブはとてもよくて(ほんとうに。とくにヨルシカのヒッチコック。)私は楽しかったけど、そのあとご飯を食べたお寿司屋さんは、私がいるからあえて暗い話はされなかったけど、何となく雰囲気が灰色がかっていた。もらったCDの歌詞カードを読んでいて、あー、と、こりゃー、なんというか、これをつくったひとに値する何かがかえってこなきゃあ、という気がした。でも、別に知られていなくったって、こういう詩が書けるひとがいて、ああいう音を編めるひとがいて、私はそれをちゃんと知っていて、それじゃダメか、という気もした。よく分からない。とにかく先輩たちが幸せでいてくれたらいいな、と思う。

いだてんの最終回もばっちり見た。色々なシーンが、まるで自分が経験したことのように思い出された。選手の入場行進の、鮮やかなユニフォームの紅白、芝生のさみどり、グラウンドの赤茶色! 出征する若者たちを覆っていた灰色の景色を塗り替える色たち!

今日はもらったCDを聞いて寝る。明日から無茶苦茶頑張らないと何も間に合わない。でも今ならうんと頑張れそうな気がする。気分だけで終わらせないように。