6/6

5/31(金)

四条烏丸から祇園四条まで歩いたら河原に降りて、音楽を聴きながら川沿いを帰っていたら、曇っているせいか肌寒くそう夏らしい夜でもないのにやけに人が多い。何かと思えば、蛍なのであった。生まれてこの方蛍を見たことがなかったからびっくりして、暫くぼうっと眺めていたけれど、嗚呼これはとてもじゃないが、自分一人では持て余すぞ、という気持ちがむくむくと立ち上ってきて、あわてて友人に連絡した。バイトの後で駆けつけてくれるというから少し安心して、蛍見に集中した。かれこれ2時間は見ていたと思う。蛍が光るのなんて当たり前だと思っていたし、事実当たり前なのだろうが、実際目の前にすると、「これはおかしい、生物としての常識に反している」と腹が立った。だって、光るのだ、私は光らないのに。本流から離れたささやかな川面を、不安定なリズムで浮き上がったり落っこちたりする、魂にも似た沢山のひのたまを、私はただ、どうしたものか、どうしたものかと目で追いながら、友人の到着を待っていた。

 

6/1(土)

朝五時に起きて友人の車で京都駅に向かい、走る自動車をおいかけて手を振り、7時半に家に戻って布団にもぐったが、寝られないから妹と夏服を買いに再び京都駅へ、その足でサークルの新入生歓迎会に向かって、向かったはいいものの思いがけず早く着きすぎてしまったから丸善をふらつき、その後飲み屋でひとしきり飲んだり食ったりした後、二次会で初対面の1回生を前にしてしどろもどろしながらケーキを食らい、それから家に帰て寝た。

 

6/2(日)

九時には研究室にいた。何とか間に合ったので安心した。嵐山の周辺、天龍寺鹿王院といった寺社仏閣・古跡をめぐった。一日中歩いたのでわりに疲れたが、やはり行ってよかったと思う。広沢の池のほとりに立つ碑の陰に座り込んで池に臨むと、向こうの方から灰色の小波がいくつもいくつも打ち寄せてきて、消えては生まれ、「お前は何をしに来た」と声を揃えて問うてくる。ちょっと怖かったので忘れないと思う。夜は妹と飯を食った。

 

6/3(月)

九時には家を出て京都国立博物館に向かった。汗だくで約束の九時半ぎりぎりに滑り込んだ。生まれて初めて正真正銘本物のマナー講師を見た。着ていたブラウスがステキだったと思う。3限はおとなしく(嬉々として?)諦めて4限だけ出に戻り、その後京都に来ていた母や祖母、それに大叔母らと構内にあるフレンチレストランで夕飯を食べた。ご相伴にあずかります、ってこういう時に使う挨拶なのだと知る。帰る前に図書館によって演習の準備をしようと思ったが、案の定何も進まない。

 

6/4(火)

朝起きた途端「こりゃもうだめだ!」と急に弱気になってしまう。私に管理しきれる予定ではない、何のメールに返事を返していつまでに何の書類を作ればいいのか。もう分からん、わからんわからん、と考えていたら泣きそうになった。夕飯が昨日のメンバーでものすごい割烹料理(本当にすごい割烹料理)だったのでよかったようなものの、その予定がなかったら本当に泣いていたと思う。豆ごはんが驚くべき美味しさであった。

 

6/5(水)

もしかしたら何とかなるんじゃないか?という気がしてくる。演習にしろ就活にしろ免許にしろ中国語検定にしろ。機嫌がよくなりジョジョを読み始める。

 

6/6(木)

何とかなるんじゃないか?と思っていた矢先、予定していた時刻に家を出られず、技能教習の存在も忘れており、何なら今も演習準備そっちのけでこれを書いている。やはりどうにもならないかもしれない。家に帰ったら文楽師匠の古典落語を読み進める。