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世はゴールデンウィーク、怒涛の10連休の初日とあって、新幹線の車内はひどく混みあっている。乗客が自由席の中央通路まではみ出して、柿の葉寿司弁当みたいにきうきう状態でのぞみ号は博多を目指す。柿の葉寿司はとても美味しいけれど、何分しゃくれ気味なので前歯で噛み切るのが難しい。噛み合わせの構造的に、上下の前歯が決して触れ合わない運命にあって、いーとやると隙間ができ、呼気と外気がすーすー行き交う。弾力があって薄っぺらい刺身なぞは、私の風穴にうまいことフィットする。こういう時だけはつくづく父方のDNAを恨む。四方八方平坦なのだ。

 進学を機に春から京都に出てきた妹と、帰省の途についている。夕方頃には着く予定にしていたのが、どちらもテキパキしているとはいいがたい性格で、まだ皿が洗えていないだの充電器を忘れていただの手提げをやめてやっぱりキャリーバッグにするだのちょっと腹が減ったからミスドに行こうだのタピオカミルクティーを飲めるなんて近頃のミスドはありがたいねだのナンだのカンだの、そうこうしてたら結局夜である。通路を挟んでひとつ隣の座席で、妹は妙によい姿勢で眠りこけている。私は鯖の身を奥歯ですりつぶすように咀嚼しながら、さっきから何度か目があう4歳くらいの女の子を気にしている。ぐでたまのぬいぐるみを大事そうに抱えている。ちょっと頑固そうな眉毛が印象的だ。席を譲るタイミングを逃してしまった。のがしてしまった。本当か?この頃こういう意味のない自問自答が多い。

 

今朝は早起きして教習所に行って仮学科試験を受けた。朝まで黄信号一時停止の原則すらわかっていなくて、かなり絶望したけれど、どうやら合格点は奪取したらしい、無事に仮免許を受けられた。嬉しくなって帰りのバスの中でツイートした。紫のセーターが良かったのかもしれない。精神的に。あっけらかんとして迷いのない、生娘のような菫色のセーターで、おなかの縄編みのちょっとちゃちなところが気に入っている。明るい色を身に着けるのは、甘いものを食べることの次に手っ取り早いし、何より健康的だ。今日は気温があまり上がらず、日陰に入るとセーターの網目を通る風が冷たくて気持ちよかった。風穴!そうだ風穴だ、かぎ針編みのかぎをひっかけて、思い切りよく開けるのだ。内の空気と外の空気、行き交って口もとですーすーするのが大事だと思う。一日に一度か二度、この世の真理を見つけた!と本気で思うことがあって、5分もすれば忘れてる。馬鹿馬鹿しいから。馬鹿馬鹿しいけど、忘れないために日記を始めた。いつも三日坊主で終わってしまうので、形だけでも世の中に開いてみる。