4/28②

デパートの蕎麦屋で昼食を済ませた後、たまたま催事場で北海道物産展があるというから母と妹と見に行く。いももちだけ買って一度出たはいいが、やっぱりどう考えても絶対、入り口あたりで売っていたソフトクリームがおいしそうだった。そう思いはじめるともういけない、足が遠のくにつれてソフトクリームへの思いは強まる。白く輝くソフトクリーム、ここで食べなきゃきっと後悔する。今後コンビニや定食屋のメニューや温泉のおみやげやさん、ソフトクリームに出くわす機会なぞいくらでもあるだろう、しかしそれらを買ったり買わなかったりするたびに、「あの物産展のソフトクリームおいしそうだったなあ」と呪いの様に思い出す。やっぱりあの場で恥を忍んで、食べたいですと言うべきだった!母のトイレを待っている間、妹の方を見ると、私の視線に気づいて言う。「やっぱさ、ソフトクリーム食べたかったくない?」

 

渋る母を説得して引き戻った。トッピングも何もないすっぴんのミルクソフト、甘すぎずさっぱりしていて、濃いめの蕎麦湯を飲んだ口に優しくて嬉しかった。「物産展のソフトクリーム!」妹が眉間にしわを寄せて感嘆する。表情が何やら所帯じみていると思ったが、言っても聞き返されるだけなので黙っておいた。

 

こういう時、妙に気の合う兄弟がいる。ありがたい話。