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植物も自分も大概同じようなものだと思っているから、切り花用に買った鋏で平気な顔して前髪を切る。というのは後から見つけた理由で、単に鋏が足りないのである。目の下まで伸びていたのを2か月ぶりに短くしたら、到底22歳には見えなくなった。今の私の顔は、ちょっと老成した16歳か、幼顔の46歳にしか見えない。高校の友人から「年とっても変わってなさそう」と言われていたのを思い出す。あれから随分色んなことが変わったが、なんというか、決して単線的な変化ではないから、それと時間の経過とがうまく結びつかない。しかし確かに時は進んでいる。たったひとりの妹が20歳になったらしい。

昨日、あいつを新居に招いて、ちょっとしたパーティーをした。持っていたローテーブルを処分してしまったから、まだ開いていない段ボールに布を引いて、その上に頼んだピザやらポテトやらをばーっと広げたら、随分祝い事らしくなった。事前に三件隣の酒屋で飲み物をそろえたが、一人一本缶チューハイを買った。月曜日らしく控え目なのである。

食べ物は十分あったけど、私が「ここの品ぞろえはすごいから」とお菓子コーナーに導いたら、まんまと買っていやがった。お前は食いしん坊だなあとからかいながら、同じく食いしん坊である私は、心中しめしめとほくそえんでいるのである。真っすぐに「これがやりたい」という係は、全部妹に任せて来た。駄菓子が並ぶ棚のあたりでベビースターラーメンを見かけて、物欲しそうに見ていたら、「ちっちゃい頃から好きやねえ、なんでそんなに好きなんかね」と呆れたように言われた。ベビースターは買わなかった。

youtubeやら何やら見ながら、ひとしきり飲み食いして、「案外ちかい。また来るわ」と言い残して8時半ごろ帰っていった。光の箱に乗りこんで、真っ黒い坂道を滑り落ちて行く妹のこと、あいつももう20歳だから、見送らないですぐに帰った。