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冷凍していた御座候を温めて牛乳と一緒に食べたけど何となく物足りない。茄子と豚肉を味噌で炒めて食べて、それでも口さみしくて棒付きアイスまで、朝からちぐはぐな食事をとる。それから二時間くらいだらだらと過ごしたが、何とか荷物をまとめて家を出、隣の隣の喫茶店へ。さっきあれだけ食べたというのに、ここでもイタリアンスパゲッティとコーヒーのセットを。スパゲッティを食べている間はソースが飛ぶから本が読めず、スプーンとフォークで両手も埋まるし、強制的に目の前の空気を見つめて考え事する羽目になり、それがいいと思う。食後コーヒーを飲みながら本を読み、隣の席に二人連れが座ってしばらくしてから席を立った。前に人と一緒に来たときも同じ窓際の席で、その際スパゲッティを食べていたのは相手の方だった、と思い出す。最近ラジオをよく聴いていて、というような話を一生懸命したのだった。

大学図書館へ。学生の頃からずっと同じ窓際の席を選んでしまう。途中何度も気を散らしながら『病いの語り』を2章途中まで読み進めた。失った身体機能や身体の一部について語り、折り合いをつけるまでの過程は喪の作業だ、というようなことが書いてあり、うなずく。

帰り道で急にシュトーレンが食べたくなり、ケーキ屋を覗いたが売っていない。店を出ようとしたところで背の高い男性客が入ってきて、片言の日本語で「ただいま!」と店員さんに片手を上げて合図していたが、なにか違う店と勘違いしているのか。別の少し洒落たパン屋にはありそうな気がするので明日にでも行く。コーヒー屋とスーパーに寄ってその他の買い物は無事遂行した。

帰宅後晩飯。手羽元とキャベツの千切りを出来合いの寄せ鍋つゆにつっこみ念入りに煮た。十分うまい。その後やっとパソコンを開いて、着手できなかったことに着手した。友達が電話口で話してくれ、気を散らしてくれたからわりに捗った。少し前までやや俯きがちだったが、先週、今度離職する会社の先輩と酒をまあ飲みに飲み、平日だというのにその人の家で寝落ちて、翌朝慌てて帰宅し何とか出社だけはしたものの、午前中のうちに二度ほどトイレで嘔吐し、昼間は裏手の公園のベンチで横たわって空を見た。先輩の家でも寝ぼけて粗相をしたのではないかと怯え、とりあえず先手を打って謝りのLINEを入れた後、10時間くらいスマホが見られなかった。あんまりでっかくやらかしたもので、日々の細やかな不安なんかもう全部吹っ飛んだ。今私の目の前には何もない荒野が広がり、ただ一枚細い板切れが地面に刺さっていて、そこには震える毛筆で「日本酒と赤ワインをちゃんぽんするな」と書いてある。