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不定期に日記を附け始めたのは二年前のこの時期で、始めの二か月はWordで記録していたから、PCメモリの端っこに誰にも知られず置いてある。久しぶりに開いて読んでみると、頭からセンチメンタルをかぶってずるずる、びしょびしょの成人女性が出てきたので、思わず苦笑してしまった。サークルを引退したばかりの頃で、いきなりぽかんと空いた時間に戸惑いながら、毎日ご機嫌で、そのくせ寂しかった。江國香織に一番入れ込んでいた時期でもあり、会いたい人の事と会えない人の事、天気と食べ物と音楽の話を不細工な情緒とオリジナリティに包み込んだ文章ばかりで、かわいくて、今の私はどうも受け付けない。

太陽の塔のわきの下、清潔。満月ひどく近くて真ん丸、太陽の塔も真ん丸な顔、私が食べてたセブンティーンアイスも上から見れば真ん丸だという訳。これら三つがちょうど正三角形の頂点に位置する時、奇跡が起こりまして、ええそうです、真ん中に位置する観覧車が突然空へと投げ出される。(略)もしかしたら、と。こういうことを積み重ねれば、案外一人でやっていけるかもね、なんて、20歳にして、思ったのだ!

随分色々なことが変わった。構造主義ではないけれども、私はあなたとの差異の束であって、あなた次第であちこちによろめく。「私」などというものの頼りなさに、今は却って安心を覚える。毎日落としたり捨てたり拾ったりするから、二年後にこれらの文章を読んで、また同じように赤面するのだと思う。