5/11

去年の今頃の日記をいくつか読み返して、思い出せない、というか思い出す必要も無い過去について記録が残っているのはやっぱり心強いなと思った。ほとんど毎日青果店を見に行って、作ったことのない料理を作っては失敗して、インターネットの恩恵を存分に受けて、後は大体落ち込んでいた。ちょっと高揚気味なのがわかりすぎるほどわかって苦笑する。

音楽に偏る時期と散文に偏る時期がある、というのはやっぱりその通りで、今は断然散文に偏っている。何か聞く時も、最近はオールナイトニッポンをradicoで流していることが多い。色々理由を見付けようとすればできないこともないけど、最近ハマってる、で片付く気もする。ラジオを聞き始めたのは完全にバイトの同僚の影響である。北山あたりでカレーを食べながら「佐久間さんのが面白いのでぜひ聞いてみてください」「聞いてみます」と喋った。彼女はもう社会人で、大阪配属になったらしい。今すぐにでも会いに行ける距離なのに、ニュースや何やで見かける医療のひっ迫状態を考えるといけなくて、もどかしい。

あと、最近本を読むのが楽しい。読む本を義務感で選ばなくなったからだし、長い時間脳みそを覆っていた薄紙が剥がれおちて、ものを考えることがあまり苦でなくなったから。今自分が立っている場所と過去の記憶だけじゃなくて、もう少し先のこととか、自分の部屋が街の中のどの辺にあるかとかを考えられるようになった。集中力は相変わらずごみくずだけど、家で小説以外の本を読めるようになったのはかなり嬉しい。去年は先行研究を読むのが苦痛で仕方なかったけど、先行研究を単なる材料とか、あるいは仮想敵と見做すのをやめて、誰かが書いた文章であることを思い出したので、少なくとも去年よりは読める。気がする。

それもこれも、今のような生活に慣れたこと、授業もバイトもほとんどなくて時間に余裕があることなどが影響していて、自力で解決したわけではない。また忙しくなってきたら、脳みそがくしゃくしゃに縮んで、ジャムしか作れなくなるかもしれないのが少し怖い。だから余計に今のうちに、色々考えておかなくちゃと思う。

昨日は一限の卒論演習に出て、授業終わりにわざとらしく教室に残ってみたけど、先生から話しかけてもらう画策はついえて、とぼとぼ退出した。タリーズでブラックコーヒーのトールを頼んだら、量が多くてしばらく気持ち悪かった。気持ち悪さをこらえながら「ノマドランド」を見て、中型車の免許をとろうかなと思った。バスに乗って学校に戻る途中、路駐したタクシーの脇で運転手が地面に座り込んで、隣に立っているおばあさんと談笑しているのを見かけた。学校に戻って自転車を拾い、帰っている途中で後輩に会った。後輩と喋っていたら同級生も通りかかって、三人でしばらく立ち話をした。中途半端に別れたので、家に帰ってその人にLINEした。数時間後に返事が来た。昨晩中に返したけど、それに対する返事が一日経っても来なくて、少し落ち着かない。こういうのは久しぶりだと思う。時間は円環状に繰り返すけど、毎日ひとつだけ逸脱して、螺旋になる。