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友人がいる。高校時代の同級生である。もう一人友人がいる。大学の同期である。ふたりは多分魂が似ている。単純に音楽の趣味とか読む漫画とか、ふとした時の言動が似ているっていうのもあるけど、何かそれ以上に、魂が似ている、とはたから見ていて思う。どうにかして引き合わせてみたいような気がするが、彼女らには「私」以外に接点がないから、高校同期の方がこっちに旅行に来た時無理やり会わせるようなことがない限り、多分一生出会うことはない。会ったらすごく意気投合すると思うけど、どっちも初対面は得意なくせに、本当に友達になるのにはちょっと時間がかかるから、本当に意気投合するまで何回も私がお節介を焼かないといけないかもしれない。もしそれが彼女らの本当の幸福であるなら、私はそのくらいやるべきだとと思う。そう思うくらい、お前なんかが何を知っていると言われるかもしれないけど、でもやっぱり魂が似ている。気がする。

でも私は多分そういうことをしない。気恥しいし面倒くさいから。というのは建前で、本当に意気投合されるのが怖いのだ。彼女らの魂の輪郭がぴたりと合わされば、そこに私の入る隙はもうないから。もし彼女らを会わせるとしたら、多分アジカンとか星野源とか羊文学とか、好きなバンドの話から始めるのがいいと思う。それから好きな漫画とかアニメの話、小さい頃何を見て何を読んできたかを緩やかに交換して、お互いの素性が大体分かってきたところで、店を出て皆でデルタに向う。私は飲みなおすためのお酒(きっと二人ともラガービールを所望するだろう、勿論私も)を買ってきて、またしばらく歓談する。そういう夜が2回か3回あれば、後はきっと放っておいても大丈夫だ。だけど私は多分、それをしない。

彼女らが好きな音楽やアニメは、私もまた好きなものだ。いつも大体困ったように笑っていて、時々妙にすっとぼけたことを言う。集団行動は得意じゃないくせに、責任感で盛り上げようとする。普段の言動はまるきりひねくれているくせに、大事な場面では恥ずかしくなるくらい真っすぐで、そういうのは全部、私が居合わせたかったし、共感したかった。心底私は彼女らみたいな魂の持ち主になりたかった。

時間はかかるかもしれないけど、彼女らはきっとうまくいく。うまくいかれると困るから、淋しいから、私が彼女らを積極的に会わせようとすることはない。高校同期は大学院から京都に来ることを考えている。いつか二人はどこかで出会うのかもしれないと思う。なんせ、魂が似ているから。