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ワンダーウォールの劇場版を見てきた。どうせ、吉田寮のロマンチックで劇的な部分を脚色して感傷的に描くような、歯の浮くような映画だろうと、あまり期待せずに行った。ロマンチックで劇的だった。でも、私が見てきた吉田寮そのものがあの映画には写っていて、映画それ自体が静かに怒っていて、戦おうという意志を見せていた。積み重なった本、いつから洗っていないのかわからない布団の重なり、天井に書かれた「正義なき力は圧制」の言葉。寮内のカットの連続は、今ここを残さねばという意志の表れだったし、(おそらく本物も混ざっている)寮生たちの横顔、数年がかりで伸ばしたのだろう脂ぎった長髪があまりにも生々しくて、この話がフィクションもなんでもなく、実際に進行中の出来事を写しているのだと大声で叫んでいた。悔しさとやるせなさとでかきむしられるものがあった。学生課にいた女が最後にのたまう「頑張ってください」がそらぞらしくて、しかし自分も何か求められれば同じように「頑張ってください」としか言わないだろうと思うと、なんか、なんかわからんけど、胸が苦しくなった。それならこの女の「頑張れ」の方がよほど本物だとおもった。エンドロールの協力団体の欄に、我が母校の名前はなかった。

(志村と三船がストレートで卒業していたのだけが嘘臭かった)