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人を呪わば穴二つ、とはまた少し違うけれども、誰かの事を知らぬところで悪く言ってしまうときは、自分もまたどこかで同じように言われていると考えなければならないし、そうするとやはり気分が重くなるので、それなら最初から、簡単に悪口なんていうべきではない。親しみこめてるつもりでも、本当に悪いと思っているわけでなくても、それは外に出した時点で、悪口なのだから。新年早々優しい気持を保てなくて、弱っている人に冷たくしてしまう。ばちが当たったのか、朝から少し体が重い。近頃極端に遅寝しているのも良くないのだろうと思う。どうやら自分で思っているほど器の大きな人間ではなくて、外から入ってくるネガティブな感情にすぐに呼応してしまう。中途半端に話を聞いて、嫌になった途端に拒絶してしまう。自分のこういうところがいけないようだと、最近ようやく分かってきた。元日に引いたおみくじは大吉だったけど、よくよく読めば「欲を持たず、人のためにはたらきなさい」という趣旨のことが書いてあって、今年に限って「人のため」か……となかなか困難に思われる。

今年の抱負を聞かれたら、長々と述べるのもどうかと思うので、ごく簡単に「嘘をつかないことです」と答えるようにしている。正直でいる、という方が近いかもしれない。事実を変に飾り立てないこと、思ったことや考えたことを既存の文脈に押し込めないこと、出来るだけ適切な言葉遣いをする、その努力を惜しまないこと。今年こそはもう、言い間違いで苦しみたくないと思う。