12/26

パソコンの立ち上げ音がやけにやかましくて、他の人のを見ると黙りこくったままで画面が明るくなるらしいのに、私のはいちいち「ヴィーーーーーン、ゴク、ゴクゴク」といかにも調子の悪そうな声を出す。静まり返った講義室でヴィーンゴクゴクをやる度に決まりの悪い思いをしていたが、段々気にならなくなってきて、これが普通だとさえ考え始めていた。何のことはない、CDをデッキに入れっぱなしにしていて、起動の度に高速回転する音なのだった。CDを抜いたら急に静かなお利口さんになってしまった。嬉しいのと同時に、実はちょっと、寂しいのだ。

昨日はかなり深酒をしたので何となく胃がもたれている。食べ物がチョコレートしかないのでしかたなく食っているが、腹具合が「コレデハナイヨ」と怒りの声をあげている。知らないふりでもう一つ。本当は昨晩みんなにあげようと思っていたんだけど、タイミングに恵まれなくて、だめだった。そんなこと言ってたらまた、あいたた、腹が痛い。

 

閑話休題

 

どうやら今日は雨が降るらしい。気温もぐっと下がって、なかなか外に出る気になれない。明日までに郵送したい課題を終わらせて、あとはそうだな、年明けからやろうと思っていた諸々の課題を、早めに始めておいた方がいいかもしれない。明日の朝か夕方には研究室に行かなくちゃいけない。生活と精神の安寧を守るためだ。

生活と精神の安寧を守るために、昨日は随分必死だった。そのせいで友人や先輩を傷つけたかもしれなくて、正直「マズッタナ」と思っている。どうしても自分の健康が一番大事で、そのために誰かをないがしろにして、そんなに反省することもない。行動原理が自己愛ばかりで、あさましいなと思う。そんなに反省することもないけど、どうしてあの人は、とは、よく思う。羨ましいし、心配になる。

悪い癖で、頭の中で簡単なシナリオをつくって、即興劇でもやってる気分で人と話すことが多い。私がこんなしみったれたことを言えば、相手はきっとこういう台詞でなぐさめてくれる。そしたら私はちょっとうつむいて、口をゆがめて笑って、そしたら……といった調子。長年培ってきた妄想癖を引きずって、どうしたら一番面白くなるか、とか相手に一撃くらわすような強い言葉を、とか、どうしても少し、考えてしまう。大抵そうしたエチュードは失敗に終わって、寧ろ私が大打撃を受けたりもする。

昨日もひとり頭の中で(餅をつきながら、あるいは川べりに腰掛けながら)、こうなればちょっと刺激的かも、普段と違って面白いかもな、というシナリオができていた。きっとその通りに動くこともできたんだけど(あと二杯くらいビールを飲んでたらもしかしたかもしれない)、少なくとも昨日の私はまともさを保っていて、二分くらいで脳内速記した台本を、二度と読めないくらいぐしゃぐしゃに丸めて捨てた。できるだけ長く続いたらいいな、と願った結果として。そのくらい昨日は幸福だったな。あれでよかったと思っている。