4時ごろに一度目が覚めて、おなかが空いていたからチョコレートをひとかけ食べてもう一度目を閉じたが、血糖値が急上昇したのか完全に目が覚めてしまった。カーテンから入る光がもう完全に気持ちのいい朝のそれだったことも大きい。ついこの間まで4時というのは、空を見上げれば星月が見える夜ではなかったか。わたしたちのおざなりで曖昧な部分を、一刻も早くあばき出さんとする五月だ。
今晩後輩と会って何を話そうか考える。考えるのはよくない兆候である。自分が相手からどう見られるか、どうしたら自分が気分よく相手と別れられるか、自分の事ばかりに気もちが向かって、結局なんか、だめだったなあ、って、シャツの皺とか伸ばしながら終わることが多い。ああでもそうだな、昨日見た伊藤若冲の水墨画、虻を見つめる雌雄の鶏がとぼけててとてもかわいらしかったこととか、岡崎のあたりはいつ行っても楽しそうで感心することとか、新しい後輩の予想の話、あとはそうだな、なんていうか、君が元気でいることが何よりだ、って、そういう話はしたいと思う。
新しい後輩については、身長190㎝体重80㎏、いわさきちひろと宮沢賢治と新井素子を敬愛していて、とても繊細な線でデザインする甘木くんと、小柄で髪の毛は人生で2度しか切ったことなくて、おしとやかにみられるのを嫌っていつも洗いざらしのジーパンとTシャツを身に着けている、合気道歴12年、大胆なグラフィックデザイナーの甘木さんだと思う……みたいな話を以前友人にとつとつと語り聞かせたら、「性癖を暴露するな」と叱られた。納得いかない部分はあるが、なるほど、自重したい。
